星野仙一氏:阪神残留明言で決着 巨人の迷走ぶりを露呈


巨人の次期監督候補に名前が挙がっていた阪神星野仙一オーナー付シニアディレクター(SD)は10日、大阪市内で開いた会見で阪神残留を明言した。一部で加熱する報道に自ら終止符を打ち、ペナントレース中の進退騒動は決着した。だが一方で、球界の盟主を自認してきた巨人が球団内部での迷走ぶりを露呈。また星野氏も野球人として残るユニホームへの未練を、正直に口にした。

 ◇ユニホームへの未練も 星野氏会見の一問一答

 星野氏の会見での一問一答は次の通り。

 −−会見を開いた経緯は。

 報道が勝手な方向へ進んでいた。はっきりとものを言わないといけない時期に差し掛かっていると思った。

 −−阪神のSDとして残留するのか。

 そういう形になると思いますよ。

 −−一連の報道についての感想は。

 読売とはやり合ってきたが、けんかではなく野球界の政策論争。ライバルチームからお褒めの言葉をいただくのは、ありがたいことです。

 −−来季ユニホームを着ることはあるか。

 それはない。

 −−巨人から監督要請はあったのか。

 正式な要請がないんだから、仮の話に対して答えるのは失礼だと思っていた。

 −−非公式な形でも要請はなかったのか。

 非公式とは、どういうことを言うのか。君ら(マスコミ)から知ったんだ。

 −−残留を決めた理由は。

 ファンの声というか、そういう思いが伝わってきた。ファンとともに戦ってきたし、支持されてきた自負心もある。

 −−阪神での立場は変わるのか。

 何ら変わりません。今まで通りで結構です。

 −−ユニホームへの未練は。

 野球人ですから。俺はどこのユニホームでも似合う。(今回は)いいタイミングじゃなかったということでしょう。

 −−(監督辞任の一因となった)体調は。

 2年経っている。鍛えているし、節制もしている。

 ◇岡田監督らのコメント

星野SDが残留を発表した10日、岡田監督以下阪神のスタッフ、選手も安堵(あんど)の表情を浮かべた。

 ▽岡田監督 球団から電話で連絡があった。はっきりしてよかった。これからもサポートしてもらえる? そやな。ゲームに専念できる? そういうのはないわ。

 ▽矢野 SDも(試合を)やっている僕たちのことを考えて、早く言ってくれたんでしょう。選手もスッキリしている。

 ▽今岡 (選手会長) 残留? ホントに? 心配してたからね。

 ▽金本 (02年オフFA宣言した際、SDに阪神入団を口説かれる) SDは、僕が阪神に来た時に呼んでくれた人。(球団に)おってもらわんと。個人的にはうれしい。一安心して頑張ります。

 ▽赤星 良かったね。というかコメントしようがない。とりあえず、こちらは(試合に)集中したい。星野さんも、そういうことを考えてくれたのだと思う。

 ▽ソフトバンク王監督 残留と思ったよ。ジャイアンツは行っても大変だから。阪神ファンが一番ホッとしたんじゃないかな。

 ◇解説 巨人監督、時期尚早と判断か

低迷する巨人をテコ入れすることで、1球団にとどまらず、危機が叫ばれるプロ野球界を活性化させる。“燃える男”が代名詞の星野氏にとって、とっておきの舞台が整えられる可能性もあった。

会見の中で星野氏は「環境を変えて勝負したくないか」という質問に、「(巨人の監督が)うわさになったことは野球人として光栄」と一般論を述べた上で、付け加えた。「今はいいタイミングじゃなかったんじゃないの」

タイミングとは? 星野氏を監督候補に想定しながら、正式に要請することが出来なかった巨人側の事情もそうだろう。だが星野氏は、ファンの声や世論の反応を見極め、時期尚早と判断していたことが、うかがえる。

「名古屋のファンに、こんなに愛された男はいない」という言葉を残し、選手時代から一筋だった中日の監督を01年限りで辞任。阪神の監督に就任した。当時も名古屋を中心に猛反対が巻き起こった。だが自らがファンと自認する阪神で、選手時代から目指してきた「打倒巨人」を継続することができた阪神移籍と、自らにとっての“永遠のライバル”の巨人に移るのとでは事情が異なる。

「どんなユニホームでも、私には背広を着るより似合う」と顔見知りの記者の質問に楽しそうに答えた星野氏は、阪神監督辞任の理由だった健康問題について問われると、「あれから2年たっている。体も鍛えている」と張りのある声を発した。

 闘争本能は消えるどころか、燃え上がっている印象さえ感じさせた。記者会見場でユニホームを着てグラウンドに立つ闘将の姿が目に浮かんだ。

 ◇巨人の監督人事、振り出しに

阪神の星野オーナー付シニアディレクター(SD)が残留を表明し、混迷を極める巨人の次期監督人事問題。滝鼻オーナーが「人身一新というと大げさだが、何らかのことをしたいと思っている」とチーム改革を唱えたことから監督人事が取りざたされ始めた。

関係者によると、巨人側は6月上旬までに、OBで前監督の原辰徳氏に水面下で次期監督の就任を打診したという。しかし、原氏は巨人監督を務めていた03年に球団フロントにコーチの人事権を握られ、当時の渡辺恒雄オーナー(現球団会長)の「原にはカリスマ性がない」の発言に不満を募らせた経緯もあり、今回の打診を受けてどう出るかが注目されていた。

一方、星野氏周辺の複数の関係者の話では、星野氏に対して読売グループ関係者がこれまで数回にわたって接触し、「巨人を助けてもらいたい」などと打診していたという。また、読売グループ内では「氏家さん(斉一郎=球団相談役、日本テレビ取締役会議長)は星野さんが表に出てこないゼネラルマネジャーでは視聴率が稼げないので監督としてやってもらいたい、と考えているようだ」と星野氏の監督就任を求める声も挙がっていた。星野氏自身も監督に就任する場合、原氏の助監督就任を求め、難色を示しめされていたとされている。

この日の星野氏の阪神残留の決断について、関係者は「アンチ巨人でこれまでやってきた星野はファン感情から巨人入りへの抵抗を感じていた」とみている。

滝鼻オーナーは9日、「頭の中にはいろんな構想があるが、着々と進んでいないかもしれない」と述べた。星野氏の監督招へいを巡る“騒動”の末、巨人の監督人事は振り出しに戻った格好となった。

やはり星野は残留ですか…
さて、これで来季の巨人もボロボロでしょうね…
( ´_ゝ`)